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Paris Gourmand パリのおいしい日々2

マレイ・ペライア ピアノリサイタル(パリ) Murray Perahia Piano Recital Paris

22 juin 2017

Murray Perahia, pour la première fois dans ma vie.
Mon dieu, il est, il est,, il est,,, incroyable. Il ne jeu pas le piano, il prie pour le piano…. Un moment de pur bonheur.
今シーズン最後の演奏会は、マレイ・ペライアのリサイタル@音響がよすぎるフィルハーモニー・ド・パリ。
巨匠、初体験
💕
高かった期待をさらに上回る、というか、期待とは違う次元に連れて行ってくれた、すごい夜。
グラモフォン移籍後初のアルバムとなったバッハ「フランス組曲」6楽章で、巨匠の真骨頂のピアニッシモを堪能し、シューベルトの即興曲でなめらかな音の連なりに恍惚とする前半。右手中指に絆創膏。大丈夫? 後半は、モーツアルトのロンドを前奏曲的に置いたのち、最後はベートヴェンソナタ32。このソナタが、ものすごかった。
指だけでなく身体中でなされる演奏は、ペライアが弾いているというより、ピアノが自ら、ペライアという、ピアノに魂を捧げた練達のピアニストを媒体に、ベートヴェンの濃密な傑作ソナタを奏でているよう。2楽章の中間、圧巻。この人のジャズ演奏を聴いてみたいと思わせる、饒舌な音。ピアノの魂が楽器を飛び出し、会場中に満ち溢れちゃう感じ。静けさに包まれているはずの会場が、すごく興奮しているのを感じる。この瞬間、会場中の人間が、すごいトランス状態に陥ったはず。
真綿で包まれたような、柔らかくちょっとくぐもったような音に、巨匠のピアノに対する敬虔と謙虚を感じる。祈りを捧げるような表情も素晴らしい。技術云々じゃない(すごい技術だけど)、彼はピアノという芸術に仕え、ピアノから、一音一音に生命と存在意義を与える特権を与えられた人なんだ。
アンコールはなし。いらない。あんな濃密な30分近くを聴かされた後に、アンコールは無意味。
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会場で配られた雑誌は、彼を”生きる伝説”として特集していた。まさにその通り。
来年また、生きる伝説がピアノに捧げる祈りを体感できますように。
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by yukinokano2 | 2017-06-26 15:56 | アート

Journal de Yukino KANO, journaliste culinaire.  パリ在住ライター加納雪乃が綴る、フランス食文化を中心にした、おいしい日々の記憶。文章&写真の無断転載禁止。
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